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空き家の売却手続きは夫婦でどう進める?必要な流れと注意点をご紹介

空き家の売却を考えはじめたとき、「手続きや税金、どこから進めればいいのか分からない」と感じていませんか。特に50代・60代のご夫婦にとって、名義や相続、費用面など確認すべきことは意外と多くあります。本記事では、売却までに必要な手続きや節税の知識、スムーズに進めるためのスケジュール管理、そして安心して取引を進めるための注意点まで、分かりやすく整理しました。ご夫婦で一緒に進めるポイントを中心にご案内しますので、どうぞご一読ください。

売却前に必要な手続きと確認事項(空き家 売却 夫婦 手続き の基本)

まず、空き家を売却する際には、相続登記(名義変更)が確実に済んでいるかご夫妻でご確認ください。所有名義が被相続人のままでは、売却手続きや媒介契約が進められません。2024年4月から相続登記が義務化されており、正当な理由なく遅延した場合には過料が課されることもあります。

抵当権が設定されている場合は、売却前に抹消手続きを進めてください。特に共有名義の空き家では、共有者全員の同意が必要です。共有者間での意思統一や連絡体制を整え、抵当権の抹消〜登記処理を確実に行いましょう。

税金の面では、譲渡所得税の特別控除制度「空き家の3,000万円特別控除」が活用できます。これは被相続人が一人暮らしの住居であった家屋を相続し、かつ相続後も空き家のまま令和9年(2027年)12月31日までに売却する場合に適用できます。ご夫妻で、建物が旧耐震基準(1981年5月31日以前)に該当するか、売却予定時期が期限内か確認してください。また、売却先が第三者で、売却価格が1億円以下であることも要件です。共有名義の場合は、相続人一人当たり3,000万円の控除が可能ですが、3人以上で共有していると、一人当たり2,000万円となる点もご注意ください。

確認事項内容夫婦での対応ポイント
相続登記名義変更が義務化されている早めに司法書士へ相談・依頼
抵当権抹消・共有名義共有者全員の同意が必要共有者間で意思統一/書類準備
空き家特例の要件期限・耐震・売却先・価格の条件要件チェック/専門家確認

税金・費用面の準備と控除の活用(空き家 売却 夫婦 手続き に役立つ節税知識)

ご夫婦で空き家の売却を進める際には、税金や諸費用の理解と控除制度の活用が重要です。ここでは、特にお二人で確認しておきたいポイントを整理しています。

まず、売却の際にかかる主な費用には、譲渡所得税・印紙税・登録免許税などがあります。譲渡所得税は、譲渡価格から取得費や譲渡費用、さらに特例控除を差し引いて課税対象額が決まります。印紙税や登録免許税も、契約書や登記などで必要になる費用として計上されます。ご夫婦でどの費用をどのように分担するか、事前に整理しておくことが安心の第一歩です。

次に、大きな節税効果が期待できる制度として「相続空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)」があります。この制度は、被相続人の居住用だった家屋と土地を相続・遺贈で取得し、所定の要件を満たして一定期間内に売却する場合、譲渡所得から最高で3,000万円を控除できる制度です。ただし、相続人が三人以上いる場合は、一人あたりの控除額が2,000万円に減額されますのでご注意ください。また、売却期限は相続開始から三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までで、制度の適用期限(現時点では令和九年十二月三十一日まで)も確認が必要です。ご夫婦でこれらの期限や要件をしっかり確認し、適用漏れを防ぎましょう 。

さらに、この制度を使う際には、確定申告の際に必要書類を添付することが必須です。必要書類には、「譲渡所得の内訳書」「登記事項証明書」「被相続人居住用家屋等確認書」「耐震基準適合証明書または建築住宅性能評価書の写し」などがあります(建物がある状態で売却する場合)。万一、取得費が不明な場合には「譲渡価額の5%を取得費とみなす概算取得費」のルールが使われますが、これは取得費を過小にみなすため税負担が重くなることがありますので注意が必要です 。

最後に、こうした節税制度や手続きに不安がある場合には、税理士などの専門家にご相談されることをおすすめします。正確な判断と準備により、大きな節税効果が得られる可能性があるからです。ご夫婦で情報を共有しながら、適切に準備を進めてください。

項目内容夫婦で確認すべきこと
譲渡費用・税金譲渡所得税・印紙税・登録免許税など誰がどの割合を負担するか整理する
3,000万円特別控除相続空き家特例の適用要件と控除額相続人の人数・売却期限・控除額の減額有無を確認
手続き・書類確定申告・必要書類の準備書類漏れを防ぐため夫婦で分担・確認


売却の進め方とスケジュールの組み立て(50~60代夫婦が安心して進められる流れ)

50〜60代のご夫婦が空き家の売却を安心して進めるためには、全体の流れを明確にし、余裕をもってスケジュールを組むことが大切です。以下の表は、一般的な手順と目安となる期間をまとめたものです。

ステップ 内容 目安期間
相談・査定依頼 まずは売却の希望や空き家の現状を不動産会社に相談し、査定を依頼します。 約1か月
媒介契約〜販売活動開始 信頼できる会社と媒介契約を結び、売出価格を決めて販売活動を始めます。 契約後3〜6か月
売買契約〜引き渡し 買主との条件交渉の後、売買契約を締結し、決済・物件の引き渡しを行います。 1〜3か月

この流れに従うことで、「急かされて焦る」「準備が間に合わない」といった不安を避けやすくなります。まずは無理のないスケジュールで、相談から販売活動まで確実に進めましょう。

また、売却を終えた後には翌年の確定申告の準備もお忘れなく。譲渡所得の申告期間は、通常売却の翌年の2月16日から3月15日までです。控除を適用する場合でも、申告が必要ですので、必要書類(売買契約書や領収書など)を整理して、税務署でスムーズに申告できるようにしておきましょう。売却活動と税申告の両方に余裕を持って取り組むことが、ご夫婦で安心して進める鍵になります。

以上が、空き家の売却を円滑に進めるための具体的なステップと、おふたりで落ち着いて進めていただくためのスケジュール設計のポイントです。

安心して進めるための注意点チェック(夫婦で取り組むリスク軽減)

空き家の売却を円滑に進めるためには、夫婦で十分に相談し、リスクを事前に確認しておくことが欠かせません。以下に重要な注意点を分かりやすくまとめました。

項目 注意点 アドバイス
更地化のタイミング 住宅用地の軽減措置が外れて固定資産税・都市計画税が増加する 解体はできるだけ1月1日以降に行い、税負担を抑えましょう。
特定空き家・共有名義のリスク 管理不全や共有者の同意不足で売却が滞るリスク 定期的な管理を行い、共有者全員の同意を事前に得ましょう。
契約上の責任と急ぎによるトラブル 契約不適合責任や急ぎの売却による不利な契約の可能性 時間に余裕をもって慎重に契約内容を確認しましょう。

まず、更地化のタイミングには注意が必要です。建物があることで受けられる「住宅用地の軽減措置」は、固定資産税や都市計画税を大きく軽減します。解体を検討される場合は、毎年1月1日時点の状態が課税の対象となるため、解体はできるだけ1月2日以降に行うことで、税負担を控えることが可能です。

次に、「特定空き家」として指定されるリスクや、共有名義が原因で売却が進まない事態も避けたいところです。建物の老朽化や衛生・防犯面の管理が不十分だと、「特定空き家」に指定されて軽減措置が適用されなくなります。また、共有名義の場合、共有者全員の同意がないと売却できません。夫婦間だけでなく、共有者との関係も含めて早めに確認しておきましょう。

さらに、契約に関しては「契約不適合責任」の問題や、急ぎすぎる売却によるトラブルにも注意が必要です。売却を焦ると、不利な契約条件を受け入れてしまったり、手続きに不備が出たりすることがあります。夫婦で内容をしっかり確認しながら、余裕をもって進めることが大切です。

まとめ

空き家の売却は、夫婦でしっかりと話し合いながら進めることが大切です。名義や登記の確認、費用や税金の準備、売却の流れや注意点といった各段階で、疑問や不安をそのままにせず、お互いの理解を深めておくことで思わぬトラブルを防ぐことができます。落ち着いて着実に手続きを進めれば、安心して売却を成し遂げることが可能です。分からないことがあれば、早めに専門家へ相談することをお勧めします。

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