
空き家の相続で悩んでいませんか?売却や査定の流れもわかりやすく解説
相続した空き家をどうすべきか、お悩みではありませんか。空き家はそのまま放置すると、税金や維持費の負担だけでなく、老朽化や近隣トラブルの原因にもなり得ます。本記事では、相続した空き家の名義変更や査定、売却の流れから、税制上の特例、より高く売却するための準備まで、順を追って分かりやすく解説します。売却を検討中の方にとって役立つ情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
相続した空き家を売却する前に確認すべき基本事項
まず、相続した空き家を売却する際には、名義が現所有者へ適切に変更されているか、「相続登記」の状況を確認してください。2024年4月から、相続で不動産を取得した日から3年以内に相続登記を行わない場合、過料(最大10万円)が科せられるようになりました。義務化の背景には、所有者が登記簿上不明となることで売却や管理が困難になる「所有者不明土地」問題への対応があります(登記義務化の施行・罰則)。
空き家を放置しておくと、以下のようなリスクが生じます:
| リスク項目 | 内容 |
|---|---|
| 維持費・税負担 | 管理費用や固定資産税、都市計画税などが継続的に発生し、管理不全空き家に指定されれば税負担が最大6倍になる可能性があります。 |
| 老朽化・資産価値減少 | 放置によって建物が劣化し、資産価値が低下するだけでなく、倒壊・不法投棄などの危険もあります。 |
| 近隣トラブル | 雑草やごみの放置、外観劣化などが原因で、ご近所とのトラブルに発展することもあります。 |
次に、売却の検討を進めるにあたっては、全体の流れを整理しておきましょう。具体的には、「査定→登記・書類整備→売却判断」の順になります。まずは空き家の市場価値や状態を把握するために査定を受け、その結果を踏まえたうえで相続登記や必要書類を準備し、その後、売却するかどうか判断することが肝心です。
空き家を高く売るための査定に向けた準備
相続した空き家の売却を検討されている場合、査定前の準備がその後の成約価格に大きく影響します。まず、権利関係をしっかり整理することが肝要です。相続人が複数いる場合には、誰が所有するかの遺産分割協議を行い、共有名義であれば全員の同意が必要になりますので、事前に法律的な整理(司法書士への相談など)が不可欠です。これにより、後々の売却手続きがスムーズになります(例:共有名義の同意、遺産分割の確定など)。
次に、査定方法を理解し準備を進めることも重要です。机上査定はオンラインで土地面積や築年数などの情報をもとに簡易的に概算を知るための方法であり、訪問査定は不動産会社の担当者が空き家を実際に確認し、建物状態や周辺環境などを踏まえて正確な査定額を算出します。この両者を組み合わせることで、まずは相場感を把握し、その後詳細な査定で精度を上げる流れがおすすめです。
査定前に整えておくと査定額に好影響を及ぼすポイントについて、次の表にまとめました。
| 準備項目 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 清掃・整理 | 室内・庭の片付け、ゴミや不要家具の除去、換気など | 印象が向上し、査定評価が高まる |
| 書類の準備 | 登記簿謄本、固定資産税納税通知書、耐震・増改築等の証明書など | 査定時に情報が明確になり、査定価格の信頼性が向上 |
| 地域に精通した業者選定 | 物件の所在地付近に強い不動産会社や相続・空き家に詳しい業者を選ぶ | 根拠ある査定と適切な売却戦略が期待できる |
また、複数の不動産業者に査定を依頼することで金額だけでなく、査定根拠や対応の良し悪し、信頼性などを比較検討できます。こうした情報をもとに、相場感と売却タイミングを見極め、自社にて売却判断をされるとより安心です。
このように、権利の整理、査定手法の理解と活用、清掃・書類準備・業者選びの3つを意識することで、査定準備は整います。そのうえで得られた査定結果をもとに、売却時期や価格調整を検討されるとよいでしょう。
税金・費用を軽減できる特例制度の活用
相続した空き家を売却する際には、税金の負担を大幅に軽くできる制度がいくつかあります。まずは「被相続人居住用家屋の空き家特例(譲渡所得から最高3000万円控除)」についてご説明します。こちらは、相続や遺贈により取得した被相続人の居住用家屋およびその敷地を、一定の要件のもとに譲渡した際に、譲渡所得から最大3000万円を差し引ける制度です。ただし、建築年が1981年5月31日以前、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までかつ2027年12月31日までに売却する必要があります。また、相続開始直前に被相続人がそこに単独で居住していたこと、譲渡価格が1億円以下であることなどの条件もあります。この制度を活用することで、譲渡所得税の負担を大きく軽減できます。
ただし、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」との併用はできません。この取得費の特例は、相続税額の一部を譲渡資産の取得費に加算できる制度であり、適用期間や対象も異なりますので、どちらか有利な方を選択する必要があります。
さらに、共有で相続した場合には控除額に変動があります。たとえば相続人が2人で共有している場合は、それぞれ3000万円ずつ控除され、合計6000万円まで、相続人が3人以上の場合は1人当たり2000万円となります。また、売却期限の厳守も重要です。特例適用の期限である相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日および2027年12月31日までの売却を心に留めておきましょう。
以下に特例制度の比較を表形式でまとめました。
| 制度名 | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 空き家特例(3000万円控除) | 譲渡所得から最高3000万円控除 | 耐震性・築年・居住期間等、要件多数 |
| 取得費加算の特例 | 相続税額の一部を取得費に加算 | 空き家特例とは併用不可、適用期間あり |
| 共有控除額の変動 | 相続人人数で控除額が変わる | 2人共有は合計6000万円、3人以上は1人2000万円 |
スムーズな売却に向けたポイントと進め方
相続した空き家を売却する際には、次のように段階的に進めることが重要です。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 査定・相談 | 信頼できる当社に相談し、物件の現状や法的条件をもとに評価を受けます。 | 1か月程度 |
| 媒介契約・販売活動 | 媒介契約を締結し、販売活動を開始します。買い手候補の探索と交渉を進めます。 | 3~6か月程度 |
| 契約・引渡し・決済 | 買主との売買契約締結後、必要書類を準備し、引渡し・決済を行います。 | 引渡しまで1~3か月程度 |
上記の流れは、宅地建物取引業法に則った重要事項説明や媒介契約、契約後の引渡しまでを含み、一般的には全体で少なくとも数か月から半年程度を見込む必要があります。
売却時期については、相続から3年以内の売却が節税メリットにつながります。特に「被相続人居住用財産(空き家)特例」などの適用を受けるには、相続開始から3年を経過する年の12月31日までの売却が条件となりますので、余裕をもったスケジュールを立てることが望まれます。
加えて、建物の老朽化や倒壊リスクを避け、固定資産税や維持管理費が増える前に、できるだけ早期の売却をおすすめします。更地化などの判断についても、固定資産税のタイミングを考慮して検討すると負担軽減につながります。
当社ではこうした点を踏まえ、安心かつ効率的に売却を進められるようにお手伝いしています。まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
相続した空き家を売却する際には、名義変更の手続きから始まり、空き家をそのままにしておくリスクや売却までの流れをしっかり知っておくことが大切です。売却を検討する際は、権利関係や物件の状態を整理し、信頼できる専門家へ査定を依頼しましょう。税金や費用の負担を軽減できる特例もありますので、制度の条件や期限を正しく理解して活用することが重要です。空き家売却を安心して進めるためには早めの行動が肝心です。どの段階でも分からない点があれば、ぜひお気軽にご相談ください。